指
今日は知り合いに会ってきた。
何年ぶりだろうか、子供を二人連れてきてくれた。
前会ったときは独身で、美人で明るいのになんでだろーねって笑ってたのに。
そういえば、私も小学生だった。
下の子は八か月で、抱っこひもの中から出てこなかったが、笑顔がとてもかわいかった。
慣れてくると、こちらに笑いかけて、手を伸ばしてくれた。
その子の右手には、指が六本あった。
掌握反応で私の指を握っては離す。
そのしぐさは、今まで見たどの赤ちゃんとも変わらないように見えた。
だから言われなかったら今日一日気づかなかったかも知れない。
言われて初めてまじまじ見た右手には、親指の根本からさらに枝分かれするように米粒のような六本目の指がついていた。(ささやかながら、ちっこい爪もあった)
それをみて私は一瞬あたまから言葉が消えて、「かっこいい、魔法使いみたい」なんて口走った。
お母さんのほうを見ることができなかった。視線が痛い。
私はあの六本指を見て、怖いと思った。
自分と違う手にではなく、その手が私の偽善の仮面のほうに伸びた気がした。
親子と別れ、自宅でぼんやりと過ごしながら今思うのは、
「彼女が幸せでありますように」ということだ。
難しいことは置いておいて、そうあればまぁ、いいかな。
そういうことにしとこう。
帰りの電車でもやもやして、それをここにぶつけてやろうなんて意気込んでいたのに
なんだかまぬけな文章になってしまった。
考えすぎるとろくなことにならない。
まぁ、そんな奴なのだ、わたしは。
下手に繕ったまどろっこしい自己紹介より、いいかもしれない。
うん、こりゃいいぞ。多分、知らんけど。
寝て起きた後に見返すのが楽しみだな