二年ぶり

二年ほど前の話

 

 

スマホと財布を忘れた上に、バイトの締作業でひどく疲れていた。気がする。なんせ随分と前の話だ。

忘れかけていた下書きの続きを…と思ったら下書きごと消えていた。

 

 

バイト先から駅まではまぁ近い。そっから20分ほど電車に揺られて、最寄駅から実家は割と近い。だから待ち合わせの普通電車にのって座席にさえ座ってしまえば、しばらくは座っていればいい。七時間の立ち仕事の後には十分な休憩だ。スマホはないのでこのまま音楽でも聴いていっそ眠ってしまおうかなとぼーっとしていたら、大きなランドセルをカシャカシャいわせて小学生の女の子が二人、向かいの座席に座った。こんな疲れてるときにうるさくされたらいやだなと眉間が落ちたが、私がこの子らくらいの頃はこんな可愛くなかったな、なんて反省しながらイヤフォンの音量を上げた。

 

 

先発の特急電車に続いて、この電車もいつのまにか駅を出ていた。出発に気がつかないほど疲れていたらしい何はともあれ電車は次の駅に着いた。この駅で降りる人はそういない。またドアが閉まって滑らかに出発する筈。だったが確かここでアナウンスがあった。3つ手前の駅で事故があり、この電車を含め全ての車両が近くの駅で緊急停車した。復旧の目処は立っていない、振替輸送は調整中、らしい。

 

 

全くやれやれだぜ。

 

私はとにかく疲れている。一刻も早く風呂に入って寝たい。

 

だったらここでちんたら待つよりも振替輸送するであろう駅へ急いだほうが早い。幸いこの駅は比較的近くに他線の駅がある。頭の中で一度だけ利用した駅と周辺の地図を思い出す。舗装されてない道もあった気がするし街灯も無さそうで正直怖いが、ここは深く考えず早く帰宅することだけに脳を消費するのが得策だ。スマホの地図には頼れないが同じような人が少なからずいるだろう。そうと決まれば乗り遅れる前に改札だけでも出ておこうかー。

 

そこで前の座席の小学生が目に入った。

2人とも学習塾のバックを下げている。私程かは知らないが疲れてるだろうななんて思った。この状況で不安でないだろうかとも。

乗り合わせた乗客に動く気配がないので前の2人を観察しているとどうやらそれなりに困っているようだ。1人がもう1人に状況を説明しているが振替輸送を正しく言えてないところを見るに、やはりこの子も虚勢を張っているだけに見える。わかる。不安に呑み込まれないように虚勢に頼る感じがなんだかとても懐かしくて痛かった。どれだけ痛かったかは忘れたが、その痛みが私の偽善に触れたらしい。

 

車内アナウンスで振替輸送の開始が告げられると私は小学生2人に声をかけた。詳しく覚えてないが「2人で帰れるか」みたいなことだったと思う。我ながら優しくない。

防犯教育の賜物か2人は私を警戒して大丈夫と答えた気がする。私は私で大丈夫と言われたのでそのまま改札に向かった。ただ、なんとなく気になって自販機に寄るついでに再び車内を見ると窓から2人が手招きしてた。

 

(薄々感じてたけど回りくどすぎてしんどくなってきた)

めんどくさくなったので簡潔にすると

 

この後2人の両親に電話して駅まで車で迎えにきてもらった。

 

電話口で優しいお姉さんと紹介されたのが嬉しかった。

 

待ってる間に電車が少し動き始めた。

 

待ってる間寒かったのであったかいお茶を3本買ったがスマートに渡せなかったし、知らない人からお茶なんてもらったらダメだと思う。

 

時間はかかったけどどちらかの親御さんが車で駅まで迎えにきてくれた。

 

なんか羨ましかった。

 

次の電車はまぁまぁ遅かった。